【問題1】裁判上の請求と相手方の死亡
AはBに対して貸金返還請求訴訟を提起したが、訴訟中にBが死亡し、相続人Cが訴訟を引き継いだ。
裁判は最終的にA勝訴で確定した。
この場合、以下の記述のうち正しいものを選べ。
- 訴訟中に被告が死亡した場合、裁判上の請求の効果は失われる。
- 被告死亡後、相続人に承継された場合も裁判上の請求の効果は維持される。
- 裁判確定後、Aは何もせずとも時効の効力は復活しない。
- 被告死亡後の裁判は無効となり、再訴提起が必要である。
【問題2】裁判の途中で弁済があった場合
AがBに対して貸金返還請求訴訟を提起中、Bが全額弁済してきた。
この場合、次の記述のうち正しいものを選べ。
- 弁済によって債権が消滅し、裁判は訴えの利益を失う。
- 弁済後も裁判確定後は6か月以内に請求しなければ時効の効力が復活する。
- 弁済は裁判上の請求の効果を消滅させない。
- 弁済後は必ず再訴提起が必要である。
【問題3】差押えの場合
AはBの預金を差し押さえた。この場合、時効はどうなるか。
- 差押えによって時効が完成猶予され、裁判確定後6か月以内に再行動が必要となる。
- 差押えによって時効が更新されるため、6か月ルールは不要である。
- 差押えは147条の完成猶予の対象だが更新にはならない。
- 差押えは時効に一切影響を与えない。
【問題4】裁判確定後の対応
AはBに対して裁判上の請求を行い、勝訴判決を得た。しかしAは1年間何の行動も取らなかった。
この場合の正しい説明を選べ。
- 裁判確定後は時効の効力は完全に失われる。
- 裁判確定後6か月以内に執行しなければ時効の効力が復活する。
- 裁判確定後は6か月以内に執行すれば時効は消滅する。
- 裁判確定後の期間には時効は関係ない。
【問題5】判例応用問題
AはBに対し裁判上の請求をしたが、Bの相続人Cは債務を承認した。
この場合、時効の効果はどうなるか。
- 相続人の承認は時効の完成猶予・更新の対象とならない。
- 相続人の承認によって時効は更新される。
- 相続人の承認は裁判確定後の6か月ルールを不要にする。
- 相続人の承認は裁判の訴えの利益を消滅させる。
【解答・解説】
問題1 → 2
被告死亡後も裁判は相続人に承継され、請求の効果は維持されます。
問題2 → 1
弁済により債権が消滅し、訴訟は訴えの利益を失います。6か月ルールは不要。
問題3 → 2
差押えは更新事由なので6か月ルール不要。
問題4 → 2
裁判確定後6か月以内に執行しないと時効の効力が復活します。
問題5 → 2
相続人の債務承認は時効更新の効果を持ちます(民法152条)。