民法

オリジナル問題集:【民法147条・148条編】

【問題1】裁判上の請求と相手方の死亡

AはBに対して貸金返還請求訴訟を提起したが、訴訟中にBが死亡し、相続人Cが訴訟を引き継いだ。

裁判は最終的にA勝訴で確定した。

この場合、以下の記述のうち正しいものを選べ。

  1. 訴訟中に被告が死亡した場合、裁判上の請求の効果は失われる。
  2. 被告死亡後、相続人に承継された場合も裁判上の請求の効果は維持される。
  3. 裁判確定後、Aは何もせずとも時効の効力は復活しない。
  4. 被告死亡後の裁判は無効となり、再訴提起が必要である。

【問題2】裁判の途中で弁済があった場合

AがBに対して貸金返還請求訴訟を提起中、Bが全額弁済してきた。

この場合、次の記述のうち正しいものを選べ。

  1. 弁済によって債権が消滅し、裁判は訴えの利益を失う。
  2. 弁済後も裁判確定後は6か月以内に請求しなければ時効の効力が復活する。
  3. 弁済は裁判上の請求の効果を消滅させない。
  4. 弁済後は必ず再訴提起が必要である。

【問題3】差押えの場合

AはBの預金を差し押さえた。この場合、時効はどうなるか。

  1. 差押えによって時効が完成猶予され、裁判確定後6か月以内に再行動が必要となる。
  2. 差押えによって時効が更新されるため、6か月ルールは不要である。
  3. 差押えは147条の完成猶予の対象だが更新にはならない。
  4. 差押えは時効に一切影響を与えない。

【問題4】裁判確定後の対応

AはBに対して裁判上の請求を行い、勝訴判決を得た。しかしAは1年間何の行動も取らなかった。

この場合の正しい説明を選べ。

  1. 裁判確定後は時効の効力は完全に失われる。
  2. 裁判確定後6か月以内に執行しなければ時効の効力が復活する。
  3. 裁判確定後は6か月以内に執行すれば時効は消滅する。
  4. 裁判確定後の期間には時効は関係ない。

【問題5】判例応用問題

AはBに対し裁判上の請求をしたが、Bの相続人Cは債務を承認した。

この場合、時効の効果はどうなるか。

  1. 相続人の承認は時効の完成猶予・更新の対象とならない。
  2. 相続人の承認によって時効は更新される。
  3. 相続人の承認は裁判確定後の6か月ルールを不要にする。
  4. 相続人の承認は裁判の訴えの利益を消滅させる。

【解答・解説】

問題1 → 2

被告死亡後も裁判は相続人に承継され、請求の効果は維持されます。

問題2 → 1

弁済により債権が消滅し、訴訟は訴えの利益を失います。6か月ルールは不要。

問題3 → 2

差押えは更新事由なので6か月ルール不要。

問題4 → 2

裁判確定後6か月以内に執行しないと時効の効力が復活します。

問題5 → 2

相続人の債務承認は時効更新の効果を持ちます(民法152条)。

-民法