司法書士試験は法律系国家資格の中でも屈指の難関試験として知られます。なかでも憲法科目は、短答式での出題が中心ですが、確実に点数を稼げる分野です。特に「憲法判例」は、判旨や理由付けがそのまま問題に出題されることが多いため、重要判例を優先的に押さえることが合格への近道です。
この記事では、司法書士試験に頻出の憲法判例ランキングを紹介し、それぞれの要点や覚え方、試験対策のコツまで解説します。
司法書士試験に頻出の憲法判例ランキングTOP10
- 猿払事件(公務員の政治活動の自由)
国家公務員法が公務員の政治活動を制限するのは合憲かが争われた事件。最高裁は政治的中立を守るため合憲と判断。
覚え方のコツ:「公務員×政治活動=制限OK」。 - 宴のあと事件(プライバシー権)
実在の人物をモデルにした小説に対し、プライバシー権が争点に。最高裁は初めてプライバシー権を認め、表現の自由との調整を示しました。
覚え方:「小説→プライバシー侵害→権利保護」。 - チャタレイ事件(表現の自由の限界)
わいせつ文書の出版が刑罰対象となり、表現の自由の限界が問題に。最高裁は「わいせつ」の基準を確立。
覚え方:「わいせつ=表現の限界ライン」。 - 非摘出子相続分規定違憲訴訟(法の下の平等)
婚外子の相続分を嫡出子の半分とする民法規定が違憲とされた重要判例。
覚え方:「婚外子も平等に」。 - 尊属殺重罰規定違憲判決(個人の尊厳・平等権)
尊属殺(親殺し)を通常の殺人よりも重く罰するのは、個人の尊厳・法の下の平等に違反すると判断。
覚え方:「親殺し特別扱いNG」。 - 謝罪広告命令事件(沈黙の自由)
謝罪広告を強制されるのが表現の自由の侵害か争点に。最高裁は沈黙の自由も含まれると判断。
覚え方:「黙る権利も自由」。 - 薬事法距離制限違憲判決(営業の自由)
薬局の距離制限が営業の自由を侵害するとされ違憲判決に。
覚え方:「距離制限は自由を侵害」。 - 津地鎮祭事件(政教分離)
市の公金で地鎮祭を行ったことが政教分離原則に反するか争点に。
覚え方:「お金×宗教→要注意」。 - 愛媛玉串料訴訟(政教分離)
愛媛県が靖国神社に玉串料を支出した問題。最高裁は違憲と判断。
覚え方:「玉串料=違憲の流れ」。 - 森林法共有林分割制限違憲判決(財産権)
森林法が共有林の分割を制限したことが財産権を侵害するとされた事件。
覚え方:「分割制限=財産権侵害」。
憲法判例が重要な理由
憲法の問題では「条文知識」だけでは対応できないことが多く、判例の知識が得点のカギになります。とくに重要なのは:
- 判例の結論だけでなく理由づけを理解する
- 条文とのつながりを意識する
- 他の基本的人権とのバランス感覚を持つ
これらを意識することで、応用問題にも強くなります。
効率的な覚え方のコツ
憲法判例は暗記量が多く、挫折しやすいポイントです。以下の覚え方を試してみてください。
- 判例の「結論・理由・覚え方」を1セットにする
- 語呂合わせやイメージ化で記憶を強化する
- 条文とセットで覚えて理解を深める
- 模試や過去問で繰り返しアウトプットする
例:
猿払事件 → 公務員×政治活動=制限OK → 条文15条、21条関連
試験対策の具体的ステップ
- まずは頻出判例TOP10を完璧にする
これだけで全体の7〜8割の問題に対応可能です。 - 条文とリンクさせる
憲法判例は単独ではなく条文との関係で問われます。たとえば猿払事件なら21条(表現の自由)、非摘出子相続分なら14条(平等権)。 - 過去問・模試で実践練習
インプット後は必ずアウトプット。文章理解や短答式の過去問を繰り返しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 判例の全文は読むべき?
A1. 試験対策では要旨と結論・理由を抑えるだけで十分です。
Q2. 覚える優先順位は?
A2. まずはTOP10判例。時間があれば20位まで広げましょう。
Q3. 暗記が苦手です。対策は?
A3. 音読や書き出し、友人とのクイズ形式など、複数の感覚を使うと定着しやすいです。
まとめ
司法書士試験の憲法分野は、判例攻略がカギです。この記事で紹介した頻出判例ランキングTOP10を中心に、結論・理由・条文のセットで学習することで、大きな得点源になります。覚え方や試験対策もぜひ実践して、合格に一歩近づいてください。
次回は、「表現の自由の判例まとめ」「憲法の条文別攻略法」などもご紹介予定ですので、ぜひチェックしてください!