不動産登記法

未成年でも不動産は買える?法律上の制限と登記手続を徹底解説!

「未成年が不動産を購入することはできるの?」「親の同意があれば登記できる?」

これは司法書士試験でも頻出のテーマであると同時に、実務でも判断を誤りやすい分野です。

この記事では、未成年者が不動産を買う場合の法律上の制限、親権者の同意、取消権、登記実務上の注意点、そして司法書士試験で問われやすい論点まで、詳しく解説していきます。

未成年者でも不動産は買えるのか?

【原則】未成年者も法律行為の主体になれる

民法上、未成年者(20歳未満、令和4年4月1日以降は18歳未満)であっても、法律行為の当事者となることは可能です。

ただし――

【制限】単独で有効な契約はできない(民法第5条)

未成年者は、法定代理人(多くの場合は親権者)の同意がない限り、法律行為を単独で有効に行うことはできません。

つまり、未成年者が親の同意なく不動産を買う契約を結んでも、その契約は「取り消し可能」となります。

親の同意があれば不動産購入は有効に成立する

未成年者が不動産を買うこと自体は禁止されているわけではありません。

親権者などの法定代理人が同意していれば、契約は有効に成立し、登記も可能です。

親権者の同意方法

  1. 売買契約書に「親権者の同意書」を添付
  2. 親権者が契約書に共同署名(連署)
  3. 親権者自身が代理人として契約を締結(法定代理行為)

これらのいずれかの方法により、法律行為の有効性が担保されます。

未成年者が単独で契約したらどうなる?

【原則】取り消し可能(民法第5条2項)

未成年者が親の同意なく不動産の売買契約を結んだ場合、その契約は未成年者または親権者が取り消すことができます。

【取り消しの効果】

  • 取り消されると契約は初めから無かったことになる
  • 代金支払い済みであれば、原状回復義務(返金・返還)が発生する

※ただし、相手方が未成年者であることを知らなかった場合でも、取り消しは可能です(ただし詐術がある場合は別)。

不動産登記実務ではどう扱われる?

登記申請時に必要な添付書類(例:所有権移転登記)

  • 売買契約書
  • 未成年者の戸籍謄本(親子関係確認用)
  • 親権者の印鑑証明書
  • 同意書 または 代理権限確認書類(委任状など)

登記官は、未成年者が単独で契約した場合には申請を却下する可能性が高いため、親権者の関与を明確に示す資料の添付が求められます。

司法書士試験で狙われる重要ポイント

1. 未成年者の法律行為の制限能力

→ 民法第5条:同意のない契約は取り消せる

2. 法定代理人の同意の形式

→ 書面添付・連署・代理行為などで明確化

3. 契約の取消しと登記の関係

→ 取り消された契約に基づく登記は「錯誤や無効原因」に基づく抹消登記請求の対象になり得る

4. 詐術(民法21条)の有無

→ 未成年者が成年者を装った場合、取消しが制限される可能性がある

実務でよくあるトラブル例

ケース1:親の同意がないまま契約してしまった

→ 登記官に拒否され、契約は無効。売主に迷惑がかかり損害賠償請求されることも。

ケース2:未成年者が自分名義で登記を希望

→ 親権者の関与が明確でないと、登記原因に疑義が生じ却下される可能性がある。

FAQ(よくある質問)

Q:未成年でも自分の意思で不動産を買える?

A:原則として親の同意が必要です。単独では無効になる可能性があります。

Q:未成年者が契約したあと、親が「知らなかった」と言ったら?

A:契約は取り消される可能性が高く、登記も抹消の対象となることがあります。

Q:親権者が1人の場合でも問題ない?

A:はい、片親のみでも親権者であれば有効です(戸籍で親権確認が必要)。

Q:未成年者に贈与で不動産を渡す場合は?

A:法定代理人の受諾または承諾が必要。受諾がなければ契約は取り消し可能です。

まとめ|未成年者の不動産購入には「親の同意」が必須!

  • 未成年者でも不動産の購入は可能
  • ただし、法定代理人(親権者)の同意が必要
  • 同意なしの契約は「取り消し可能」となる
  • 登記には同意を証明する書類が必須
  • 司法書士試験では「制限行為能力者の法律行為」「代理・同意」「登記申請要件」が頻出

未成年者と不動産というテーマは、法的な制限や登記実務の細かい知識が問われる分野です。司法書士試験対策としても、制限能力者制度の本質理解と、登記との関連付けが非常に重要です。

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