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そもそも「本権」って何?司法書士試験に必須の民法用語を理解しよう

民法や民事訴訟法を学ぶ中で「本権(ほんけん)」という用語に出会うことがあります。しかし、「占有権」との違いが曖昧だったり、「どの場面で使う言葉なのか」がぼやけてしまっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「本権」とは何か、司法書士試験で問われる場面、関連条文や判例の理解、そして実務や登記との関係までを丁寧に解説します。民法の重要な概念を深く理解し、試験に備えましょう。

本権とは何か?|定義と意味の基礎から整理

「本権」とは、物に対する正当な権利のことを指します。もっと言えば、「物を支配する正当な法的根拠」を意味します。

本権の具体例

  • 所有権(民法第206条)
  • 地上権(民法第265条)
  • 賃借権などの用益権(民法第601条など)

たとえば、あなたがAという土地を所有している場合、その「所有権」こそがあなたの「本権」です。

占有との違い

比較項目本権占有
定義法的に正当な物に対する権利事実上その物を支配している状態
典型例所有権・地上権など借主、無権原占有者も含む
効果返還請求・妨害排除などの根拠になる占有保護請求(民法第198条~)が可能
対抗力登記や公示手続きが必要占有開始時点で一定の保護が生じる

司法書士試験では、「本権と占有」の違いを事例問題で問われることがあります。正確に区別できるかが得点の分かれ道です。

民法における本権の条文的根拠と構造

民法の条文では、本権という言葉は明文では頻出しませんが、概念的には所有権や用益権といった物権が「本権」に該当します。

所有権(第206条)

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物を使用し、収益し、及び処分する権利を有する。

この「所有者」という立場がまさに「本権者」です。つまり、Aが自宅を所有していれば、Aはその建物について本権を有していることになります。

占有訴権との関係性(第198条~)

民法第198条以下には、占有に基づく保護が規定されていますが、これは「占有訴権」と呼ばれ、本権があるかどうかにかかわらず保護されます。

事例で学ぶ「本権」との向き合い方

事例1:Aが所有する土地にBが無断で住んでいる場合

  • Aは土地の「所有者=本権者」
  • Bは「無権原占有者」

このとき、Aは「本権に基づく返還請求」(所有権に基づく返還訴訟)を提起できます。

事例2:借地人がさらに他人に転貸している場合

  • 借地人は占有者でありつつも、賃借権という本権も持っている
  • 転借人には占有しかない

このように、占有と本権が重なる場合もあるため、「本権の根拠が何か?」を見極める力が重要です。

本権に関する判例で理解を深めよう

最判昭和32年10月4日(民集11巻11号1517頁)

占有者が本権に基づいているか否かは、占有開始の事情や経緯、現況等を考慮して判断すべきである。

この判例では、本権が争点となり、占有者が本当に正当な権利に基づいているかが詳細に審査されました。

司法書士試験では、こうした判例の趣旨を理解し、「本権に基づく請求か占有訴権に基づく請求か」を的確に分類できることが問われます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「本権」とは、民法上の用語ですか?
A. 民法の条文には「本権」という文言は多く出てきませんが、法学上・判例上で使われる重要な概念です。

Q2. 占有していれば本権は不要ですか?
A. 占有は事実上の支配であり、本権がなくても一定の保護(占有訴権)を受けられますが、長期的な保護や所有権の主張には本権が必要です。

Q3. 「本権がある」と証明するにはどうすればいい?
A. 所有権ならば登記、賃借権ならば契約書など、権利の発生原因を証明する書面や事実が求められます。

司法書士試験対策のコツ|「本権」と「占有」の切り分けを徹底せよ!

  • 本権=物権が中心:所有権・地上権・永小作権・抵当権などの正当な物に対する権利を意味する
  • 占有とは区別せよ:占有だけで主張できる権利(例:占有保全請求)もあるが、本権とは別物
  • 登記と結び付けて覚える:不動産における本権は登記と密接に関わるため、登記法とのリンクも意識
  • 事例で練習する:本権に基づく請求か、占有に基づく請求か、論文・択一ともに頻出!

まとめ|「本権」は民法の土台!論文・択一・実務すべてに直結する重要概念

「本権」とは、単に「正当な権利」として覚えるだけでなく、「なぜそれが正当なのか?」「どのように証明するのか?」という視点が不可欠です。

司法書士試験では、事例の中にある小さなヒントを拾い上げ、「この人は本権を持っているのか?」という問いに対して、条文・判例・論理の三位一体で答えられる力が求められます。

早い段階でこのテーマをマスターし、実務でも活かせる知識として定着させましょう!

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